アイスセーブ問題とアイスランド政府の対応

今月5日、グリムソン大統領が1230日にアイスランド国会を通過したアイスセーブ補償法案への署名を拒否した件に関して、アイスランド政府は、国際債務を履行する意思を明確に示しており、英蘭両国との二国間融資協定、そして法案に定める政府補償を全面的に履行する姿勢を崩していない。英蘭両国、その他協力国の政府、EUIMFと緊密に連絡を取り、最新の進捗状況を伝え、また、大統領が署名拒否した後の経緯についても説明した。

200810月に国有化されたランスバンキ銀行が英国、オランダに設けていたネット口座「アイスセーブ」の預金者に対する補償を英蘭政府が肩代わりし、アイスランド政府に拠出金の返済を求めている問題で、グリムソン大統領は、今月5日、英蘭両国政府からの拠出金の返済に対して政府補償を付与するための、アイスセーブ補償法案への署名を拒否した。そのため、今月6日、アイスランド政府は議会を招集し、同法案を国民投票に諮るための準備段階となる政府法案の審議に入った。憲法第26条には、大統領が法案に署名せず、不成立となった場合、国民投票に諮るものとすると規定されている。

審議前の草案では、201036日土曜日までに国民投票を実施すると記述されているが、アイスランド政府は同年220日、27日または36日に実施することを提案している。

大統領は署名拒否したものの、国民投票で否決されない限り、法案は成立し、有効に存続することになる。

景気対策と不可分

アイスランド政府は、英蘭両国との融資協定についてアイスランドの景気対策と不可分であるとの見解を示している。IMF、北欧諸国およびポーランド政府からの融資を通じて、IMFの協力の下で策定された景気回復対策は継続される。また、ここ数カ月に渡り、経済の信頼を回復し、新たな経済成長を実現するために重要な施策を実施してきた。

景気対策の実例

  • 支出削減と増税により2013年までに財政を健全化するという政府目標を達成するために、大規模な緊縮財政政策を導入
  • 全商業銀行の国有化は完了し、今後は金融市場の規制枠組みの大幅な改定を実施する予定
  • 個人および企業を対象とした大規模な債務再編を実施中
  • 一般世帯向けに一部給付金を保証する各種対策の導入
  • 一般世帯の購買力を向上させるために、任意の非課税年金積立金を引き出すことを認める法案を可決

中央銀行は、最初の施策として資本規制を撤廃した。

 

アイスランド議会で可決された法案

20091230日、アイスランド議会は、アイスセーブ補償法案を可決した。同法案により、英蘭両国からアイスランド預金者・投資家補償基金に拠出された資金の返済に対して政府補償を付与する権限を財務大臣が有することになる。この拠出金は、破綻した民間銀行ランズバンキの英蘭両国に所在する支店の預金者に最低限の補償金を支払うことを目的としている。

法案の可否は多数決により決定

グリムソン大統領はアイスセーブ補償法案への署名を見送ったが、同法案は既に発効されている。ただし、憲法第26条では、有権者の無記名投票による国民投票に諮り、多数決により可否を決定することが要求されている。否決された場合は、無効となるが、それ以外の場合は有効に存続することになる。1944年のアイスランド共和国建国と同時に、この署名拒否の規定が憲法に盛り込まれた。しかし、2004年に同大統領が「特定資本の複数メディア所有を規制する法案」に史上初めて署名を拒否するまで、一度も運用されたことはなかった。この法案は後に議会で廃案となっており、したがって、国民投票は一度も実施されたことはない。  

 

 



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